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遺伝子学の用語変更

医療統計学でもよく使われている言葉(用語)の変更があるかもしれない。
と言うか変更して、クレームをつけられないよいうにする動きと聞いている。

我々が聞き慣れている言葉でも社会に出ると、あまりいい思いをされない事がある。それを払拭する狙いである。

優性→顕性(けんせい)劣性→潜性(せんせい)
「優性、劣性」は遺伝学用語として長年使われていたが、優・劣という強い価値観 を含んだ語感に縛られている人たちが圧倒的に多い。疾患を対象とした臨床遺伝の 分野では「劣性」遺伝のもつマイナスイメージは深刻でさえある。一般社会にもすでに定着している用語ではあるが、この機会に、歴史的考察もしなかがら、語感がより中立的な「顕性、潜性」に変更することになった。この用語変更は、日本人類遺伝学会との共同提案でもある。
その他にも、
半数体→単数体
二倍体生物の生殖細胞すなわち配偶子は、体細胞の染色体数の半分の染色体セッ トを含む半数体であり、これは原語haploidに由来する。しかし、半数と半数が合体(受精)して“二倍体”が生じるというのでは理屈に合わない。もともと “haploid” の “haplo-” の意味は「単、単一」であるので、本書では haploid の訳語として「半数体」に替えて「単数体」を用いることになった。半数体はこれまで「一倍体」という用語とよく混同され、教育用語としては一倍体に統一されている。しかし倍数種の多い植物では、一倍体と単数体の区別は重要である。
対立遺伝子→アレル(対立遺伝子)
allele は、遺伝子に限定されない概念である。実際に Single Nucleotide Polymorphism (SNP)などもアレルの一つであるが、遺伝子とは限らない。また、 allele の本来の意味は”多様なものの一つ”であるが、これに“対立”という訳語を 当てており誤解を招く。良い訳語が見当たらなかったため、カタカナ語の「アレル」と、 これまで用いられてきた「対立遺伝子」の併記とし、アレル(対立遺伝子)とする。
突然変異→[突然]変異
英語のmutationには「突然」という意味は含まれていないのに、突然変異と和訳したために混乱が生じている。一般社会では(教育界でも)de novo mutation と混同され、「突然変異形質が集団や家系内で代々伝わっている」という表現に、「代々伝わっている」のに何故「突然」なのか、という違和感が生じる。近年の学術界ではmutation を単に「変異」と呼ぶことが多く、訳語としては「突然」の2文字を外すことになった。ただし場合によっては「突然変異」を用いることがあっても良い、という意味で[ ]で囲んだ[突然]の文字を付けている。変異はこれまでvariation の訳語でもあったので紛らわしいが、variationには「多様 性」という訳語を当てることになったので、明瞭な使い分けが可能である。variation と mutation の訳語改訂は、日本人類遺伝学会の見解(2009)に準じている
変異、彷徨変異→(1)多様性(2)変動
geneticsの概念(Batesonによる造語、1905: “heredity と variationを研究する 学問”)が日本に伝えられて以降、variationには「変異(彷徨変異)」という訳語が当てられ、mutationには突然変異と訳されてきたため、分かりづらかった。英語の 本来の意味、概念を明確に区別するために、mutation は[突然]変異、variationは多様性とした。また、「多様性」は生物学全体、あるいは生態学では diversity の訳 に用いられているが、意味は類似しており、混乱は大きくはない。また、variation には、状態としての多様性に加えて、プロセスとして変化する意味がある。そちらには、 (2)変動を当てる。多様性という訳語に関しては日本人類遺伝学会とも一致して いる。本解説では日本人類遺伝学会の見解(2009)から一部引用。
多様性→(1)多様性(2)分岐
diversity には、状態として多様であるという意味と、まさに多様になろうとしている状態としての分岐の意味があるので、分岐を加えた。
色覚異常、色盲→色覚多様性
英語の color blindness に相当する日本語は、教科書でもメディアでも「色盲」を避けて「色覚異常」に統一されている。日本医学会の改訂用語(2008)でも「2色覚」 (旧来の色盲)、「異常3色覚」(旧来の色弱)が提示されている。しかし、一般集団 中にごくありふれていて(日本人男性の5%、西欧では9%の地域も)日常生活にとくに不便さがない遺伝形質に対して、「異常」と呼称することに違和感をもつ人は多い。 Color blindness に対する邦語の適訳がないので、この用語集では(日本人類 遺伝学会との共同で)邦語と英語をペアにしたかたちで、色覚多様性(color vision variation)という呼称(概念)を提案する。
動原体→セントロメア
細胞分裂期の染色体は2本の染色分体から成り、この染色分体を連結させている (染色体のくびれ“狭窄”のように見える)部分がセントロメアである。紡錘糸が連 結する領域でもあり、細胞分裂期における染色体の安定した分配制御に必須の染色 体領域である。この領域はヘテロクロマチンを構成し、特異な反復配列に富んたセントロメア DNA が広く知られる。以前からセントロメアは動原体とも言われていたが、 現在は、電子顕微鏡で実体として観察できる動原体(kineochore)とは区別して呼称 することが多く、本書でもこれに準じる。ただし現代では動原体の実態機能が明らかになっているため、セントロメアとは明確に区別すべきである。metacentric, dicentric などの合成語では動原体でも問題ない場合が多いので、そのような合成語の場合は動原体の訳語をそのまま使う。
キネトコア→動原体(キネトコア)
Kinetochoreは、実体と機能が明らかな構造体であり(電子顕微鏡で観察可能な 3層構造、その最外層に紡錘糸が連結する)、訳語として動原体あるいはキネトコアが定着している。これまでセントロメアと混用されることもあったが、現在ははっきりと区別することが多い。染色体のセントロメア領域に動原体という実体がある、という理解である。

誤解や偏見は減りそうですが、馴染みのない言葉になるので今まで習った記憶が強く残っている人には分かりにくい。
しかし、昔から論議はされていたのでいずれは来るだろうと予測はしていた。
下記がニュースで流れた部分だ。

日本遺伝学会は、約1世紀にわたり遺伝学で使われてきた「優性」「劣性」という用語を、それぞれ「顕性(けんせい)」「潜性(せんせい)」に改めると決めた。遺伝子に優劣があるとの偏見や不安を払拭(ふっしょく)する狙いがある。同学会は近く一般向けに初の用語集を出版し、普及を図る。遺伝学を生んだ「メンデルの法則」は20世紀初め、日本に紹介された。その頃、ある遺伝子の二つの型のうち、特徴が現れやすい遺伝子を意味する「dominant」に「優性」、現れにくい遺伝子を意味する「recessive」に「劣性」という訳語が当てられ、定着した。

ヒトの場合、特徴が現れやすい、現れにくい遺伝子の例として▽血液型のA(B)型、O型▽まぶたの二重、一重▽つむじの右巻き、左巻き▽巻き舌ができる、できない--などが知られる。それぞれの遺伝子に優劣の差はないが、「優れた」「劣った」という語感が誤解を生みやすく、同学会は10年ほど前から用語編集委員会を中心にインターネットで意見を聞くなどして見直しを進めてきた。

このほかに、同学会は約100の遺伝学用語を見直した。例えば、「突然変異」(mutation)は原語に「突然」という意味が含まれないため「変異」に。「変異」と訳されてきた「variation」は「多様性」と改めた。また、「色覚異常」や「色盲」という用語については、日本人男性の20人に1人が相当することなどから、「異常と呼ぶのは不適当」との意見で集約。科学的に中立な「色覚多様性」という表現を採用した。
同学会は月内にも、これらをまとめた用語集「遺伝単」(エヌ・ティー・エス)を出版し、文部科学省にも教科書の用語改訂を要請する方針。同学会の小林武彦会長(東京大教授)は「ゲノム(全遺伝情報)解読が進み、遺伝子の多様な役割が分かってきた時代に合わせた用語改訂だ。広く社会にも定着してほしい」と話している。
以上が引用。
確か2800円前後で出版される予定らしい。

ちなみに、当サイトは、2017年度に作成されているために、旧表現がメインとなっている。近々に見直しながら改定していく予定である。

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